研究紹介

研究詳細

高性能国産新規RNAウイルスベクターによる虚血肢治療用バイオ製剤の開発

はじめに

 慢性動脈閉塞症は、閉塞性動脈硬化症などによって下肢の血行が阻害された結果、労作時の歩行困難(間歇性跛行)、その後更に潰瘍や壊死に至る(重症虚血肢)疾患です(図1)。今のところ明確なエビデンスが確立している治療法は、間歇性跛行ではシロスタゾールのみ(国内、最大歩行距離50%の改善)、重症虚血肢については手術のみであることから,病状を改善する新しい治療法が渇望されております。

(図1)



Ⅰ.治療的血管新生療法

 血管新生因子タンパクあるいは遺伝子による血管新生療法は、血管の狭窄あるいは閉塞に基づく組織あるいは臓器の虚血性障害に対して、血管新生因子の局所濃度を増加させることにより局所に新しい機能的血管を形成させ、側副血行路の獲得により虚血組織への血流を回復し、虚血状態から救済することを目的とするものです。


1 臨床効果の現状


2 全く新しいRNAバイオ製剤:DVC1-0101

 このような背景から、我々は「圧倒的な治療効能を示す血管新生療法の確立」を目指し、独自に開発を進めておりますF遺伝子欠損非伝搬型組換えセンダイウイルスベクター(rSeV/dF)(図2)による遺伝子治療臨床研究を立案、治療遺伝子としてhFGF-2(ヒト塩基性線維芽細胞増殖因子)との組合せが既存法と比較して最も高い治療効果を示すことを明らかにしてきました(図3)(開発コード:DVC1-0101)。

(図2)


(図3)



II. DVC1-0101:Phase I/IIa試験の結果

 Phase I/IIa試験は、オープンラベル、ステージ1からステージ4の用量漸増試験であり、それぞれの効果から安全性、至適用量の検討をおこなってまいりました(図4)。

(図4)                  (図5)


1 安全性について

 本臨床研究において使用されるレベルの用量において、特定の併存疾患を有しない虚血肢患者に対するDVC1-0101の認容性は高く、全身に及ぼす影響も比較的少ないことから、安全に使用できると考えられました(図5)。


2 臨床効能について

 本臨床研究において使用されたレベルの用量において、DVC1-0101は、特に臨床的に歩行機能の持続的な改善および安静時疼痛の持続的な改善に寄与する可能性が考えられました(図6)。

(図6)


3 慢性動脈閉塞症のエンドポイント


Ⅲ. DVC1-0101: Phase Ⅱb study

 Phase I/IIa試験の結果とエンドポイントの観点(上記)から、我々は第IIb相用量反応試験(多施設・並行群間二重盲検試験)として、高度間歇性跛行肢(最大跛行距離200m以下)を対象とすることが妥当であると判断しました。

 既に治験薬製造は平成25年5月までには製造終了する予定で、治験プロトコールに関する医薬品医療機器総合機構との合意も得ております。今年度中の治験の開始を目指しております。

(医師主導治験プロトコール図)

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